共有名義の不動産を売却する方法は?|東京の不動産業者が解説

共有名義

少子高齢化が危ぶまれている日本ですが、中心である東京には多くの人が集まり、不動産の需要も高いです。
いろいろな場所で再開発が進み、タワーマンションが建てられている中で、高値で売れる不動産を売却してしまいたいと思う人は少なくないでしょう。
そのとき、頭を悩ませるのが共有名義の問題ではないでしょうか。
共有名義の不動産をどのように売却すれば良いのか分かりませんよね。
そこで今回は、共有名義の不動産を売却する方法をご紹介します。

□共有名義とは
共有名義とは、その物件が1人だけのものではなく、夫婦や親子などで所有権を分け合っている状態のことです。
そうなると、不動産売却をするのに特別な手続きが必要なのではないか、売却した代金はどのように分けるのか、といった点が気になりますよね。
そもそも、共有名義の不動産が売却できるのか不安な方も多いでしょう。

その答えとして、いくつかの方法で不動産売却をすることは可能です。
次に、それらの方法について順番に解説していきますが、その前に理解しておかなければいけない点が、共有の意味です。

ただその物件が複数人の名義だとしても、漠然と「みんなのもの」としているわけではなく、「所有権を夫と妻で2分の1ずつ持っている」というように、所有している割合が決まっています。
これが共有持分と呼ばれます。
持分は、その物件を購入するのに、誰がいくら支払ったのかという点で決まります。

□共有名義の不動産を売却する方法
*持分を売る方法
持分は、自分だけの権利です。
物件全体が共有名義になっていたとしても、その共有者の1人が自分の持分を不動産売却をすることに問題はありません。

この方法は、誰にも同意を得ていなくても、手続きを済ませられます。
もちろん、所有権の割合が決まっていても、実際に土地のどこからどこまでかということまで決まっているわけではありません。
その線引きをするために共有分割協議と言って、所有権を共有している人達同士で話し合いをする必要があります。

しかし、これは法的には可能な手続きですが、実際に一部分だけ不動産売却をするといっても買い手が出てくるかどうかは分かりません。
いるとすれば、そのような物件を専門的に扱う業者くらいでしょう。

*分筆して売る
もう少し工夫をして、ひとつの不動産の一部分だけを売るのではなく、持分に応じて分けて登記を行ってしまう方法があります。
そうすれば、1つの土地は独立した複数の土地に分かれ、それぞれ誰とも所有権を共有していない状態になります。

これは「分筆」という手続きで、共有名義のままだったときよりも買い手が見つかる可能性が高まります。
とはいえ、登記をするためには、測量や法務局に支払う登録免許税など、ある程度の出費を覚悟しなければいけません。

*売却後に持分割合で分ける
そこで現実的な不動産売却の方法としては、共有者全員に同意をしてもらうことになります。
共有名義の不動産を売却するときには、不動産の登記済権利書か登記識別情報、土地測量図、境界確認書、共有者全員の身分証明書、印鑑証明書、住民票、印鑑などを用意しなければいけません。

契約を交わす時に、全員がそろっていたら、契約書にそれぞれが署名、捺印をすることになります。
もし、共有者を代表して、誰かが不動産売却の手続きを進めるときには、他の人たちから委任状をもらわなければいけません。

共有者全員が同意した上で売却が行われたら、そこで得た代金と必要だった経費は、共有持分に応じて分配していきます。
この方法が、最も現実的な方法と言えるでしょう。

□注意点
不動産を遺産相続で手に入れている場合には、権利を持つ相続人同士の話し合いが難航することもありますから、このような売却ができないかもしれません。
そういうときには、共有者の1人が、他の共有者から権利を買い取ったり、他の相続財産を譲る形ですべての権利を持つ方法もあります。
1人だけの権利者となれば、いつどこで不動産売却をしたとしても自由です。

ここでの注意点は、1人が権利を買い取るにしても、売却代金と比べて低すぎると、元の共有者たちとトラブルになりかねません。
しかも、それで利益が出てしまうと、贈与税の課税対象になります。
逆に高く買い取ってしまうと、そのうちの1人が損失を被ることになります。
適切な金額を出すためには、不動産市場の動きをよく見極めなければいけません。

ちなみに、これらの方法で共有名義の不動産売却を考える場合、まだ住宅ローンの支払いが残っていることがあります。
売却代金が住宅ローンの残債と経費を足した金額よりも高くなるならば売却は可能です。
もし安いようであれば、共有者が自己資金で足りない分を補えなければ売却はできません。

□最後に
今回は、共有名義の不動産を売却する方法をご紹介しました。
知らなかった知識も多くあったのではないでしょうか。
共有者が納得のいく方法で、トラブルなく売却を進めましょう。