マンション売却は大規模修繕の前?それとも後?

大規模修繕工事前に

マンション売却をするなら大規模修繕のタイミングに気を付けましょう。
大規模修繕がはじまると、長期間シートに覆われて外観が見えなくなります。
窓から景色が見えなくなり、室内も暗い印象になります。
通常ならば売却しやすい物件でも、工事中は成約しなかったり値引き交渉をされたりする可能性が高まります。
では、マンションの売却は大規模修繕の前か後、どちらが良いのでしょうか。
今回は、マンションの売却をする際の大規模修繕のタイミングについてご説明します。

□大規模修繕をするタイミングは「修繕積立金」が重要
大規模修繕が開始されると、お金の面でデメリットがあります。
工事費は基本的に修繕積立金から出されますが、それだけでは足りずに一時徴収金を求められることがあります。
修繕積立金とはその名の通り、修繕のための費用ですので、新しい設備を設置したりリニューアルしたりするための費用は含まれていません。
建物や設備をリニューアルする場合には、負担金を求められる可能性が高いです。
毎月支払っている修繕積立金は最初は低めに設定されていますが、何年かごとに上がっていくのが一般的です。
工事後には、修繕積立金の金額も上がる場合もあります。

□修繕積立金が増額してしまうと損になる
「修繕積立金の増額」は、マンションの価格を下げます。
マンションを買う人は、「ローン返済+管理費+修繕積立金」で月々のコストを計算します。「修繕積立金の増額」は購入者にとってマイナス要因なので、価格を下げなければ売れなくなるわけです。
単純に考えると、増額の分だけローン返済の負担を減らさなければならないことになりますが、それ以上にマイナス要因が働くこともあります。
その理由は、マンション購入者は修繕積立金が将来増えていくことを知らない人も多いからです。

マンションの築年数が増えるに従って、修繕積立金の金額も増えていくことを知らない人は、中古マンションの修繕積立金が高いと、実際以上に高額に感じてしまう傾向があります。
中古マンションの修繕積立金が2万円、新築のほうは1万円だったとしたら、後者の方がお得と感じてしまうのです。
実際には、新築もいずれは中古になり、修繕積立金の金額が上がっていくのですが、その事実を知らない人も多いのです。

□修繕積立金が増額しない場合とは
ただし、修繕積立金が増額されることは、必ず起きるわけではありません。
もしも増額がないならば、このデメリットはないどころか、大規模修繕が終わった直後なので10年以上は足場作業がないということはメリットになります。
では、「大規模修繕で修繕積立金が不足しない」、「増額がない」ということはどうやって確認すれば良いでしょうか。
まずは、長期修繕計画の有無と計画期間を確認しましょう。
「長期修繕計画があるかどうか」、「長期修繕計画の計画期間が30年以上かどうか」という2つのポイントが重要です。
もしもあなたのマンションに長期修繕計画がなければ、修繕積立金が増額される可能性が高まります。
40年以上あれば理想ですが、30年以上あれば問題ないでしょう。

計画期間が40年より短い場合には、「機械式駐車場やエレベーターなど重設備の取替」、「給水配管・排水配管・ガス管の取替」といった項目が抜けている可能性があります。
国土交通省のサイトなどに記載されている大規模修繕項目の例を参考にして、修繕費が大きい項目をチェックしておきましょう。
もしも、修繕費が大きい項目が抜けていたら要注意です。
国土交通省が平成23年に修繕積立金のガイドラインを出しましたが、それも確認しておきましょう。

□マンションを売却するタイミング
修繕積立金が増額されるおそれがあるならば、大規模修繕後に売った方が圧倒的に有利になる可能性が高いです。
工事が始まると、内覧者は購入後の生活をイメージできないので成約率が下がることが原因の1つにあるためです。
さらに、工事の騒音やニオイなどのストレス要因があります。
同じマンションでいくつも物件が売られて、競争率が上がるかもしれません。
競争率が上がれば、値引き競争が起きて価格が下がります。
大規模修繕があると売却を考える人が増えるので、競争が起きる可能性は高いです。
売却競争になる前に、早めに行動して高値で売り抜けてしまうのが賢いでしょう。

□まとめ
まとめると、一時徴収金や修繕積立金の増額があるかどうかが、売却のタイミングを考える重要なポイントです。
それがなければ、他の観点から判断して工事前に売るか、それとも工事後に売るかを考えましょう。
他の観点とは、マンションの寿命だけでなく、例えば、信頼できる不動産会社に相談をして、優秀な営業マンの力を借りられるかという点です。
「一時金の徴収」や「修繕積立金の増額」など不利な条件がそろっていても諦めないでください。
優秀な営業マンならば、それらの不利な条件をはねのけて高値で売却してくれることもあります。
どこの不動産会社に相談をしても、ほとんど価格が変わらないと誤解をしている人がいらっしゃいます。
しかし、実は、不動産会社の売却戦略によって物件の売却価格は大きく異なります。
大規模修繕をするタイミングを考えて、できるだけたくさんの不動産会社を比較しましょう。